
悪性腫瘍や癌、先天性奇形、思わぬ事故などが原因で体の表面の一部を失ってしまう症例は、昨今の日本でも年々増加の傾向にあります。 しかし、逆に 考えれば以前は不治の病と恐れられていた癌なども現代ではその侵された細胞を早期に発見し、きれいに取り除くことによって決して恐れることのない、十分克 服できる病気の一つになりつつあります。 ですが、病巣を取り除くと言うことは、胃がん患者が胃腸を摘出するのと同様に、病巣が体の表面あるいは表面付近 にあれば、結果的にその部分も一緒に取り除かなければいけなくなり、体表に欠損と言う形で残ってしまうのです。
人体表面患部摘出後の処置として、形成外科などが担当する再建外科手術や皮膚移植手術がありますが、人間の体をもとの通りに作り直すと言うことはと ても大変なことである上、患部の状況などから思ったような結果が得られない場合も多いのです。 また、そのような処置のあることを知らなかったり、病気が 完治するまでは再建手術が受けられない、あるいは、もう二度と身体にメスは入れたくないという恐怖心から、やりたくてもできなかった患者さんの方がはるか に多いのではないでしょうか。
一般の人はそこにあるはずの物がなかったり、形がおかしかったりすると、ついその部分に目がいってしまうものです。 そんな他人が見た際、そこに障 害がある事がばれてしまうようなお粗末な装具を使用したところで余計に注目を浴びる原因となるでしょうし、好奇のまなざしや下手な同情をかけられること で、患者さんの心はさらに傷付いてしまうことでしょう。
メディテックではそのような患者さんが負った傷跡による精神的な苦痛を 少しでもやわらげていただけるよう、とかく内向的になり、家に隠りがちになやすい患者さんに今までそこにあった物と全く同じ、あるいは、そこにあるべき正 常な形状のエピテーゼを製作し、それを装着して他人の目を気にせず外出することで自信を取り戻してもらうというリハビリテーションのお手伝いをさせていた だいております。
しかし、残念ながら日本ではエピテーゼを使用したリハビリテーションというものが正式に認可されておらず、製作技工所や技術者、技術に対する最低水 準などが厚生省の管理下にないため、製作に対する料金は保険の適用外ですし、しっかりとした技術を持っていない技工所が製作しているケースもあります。
別ページでも御紹介しますが、エピテーゼという言葉は当社独自の商品 名ではなく、医学用語です。 エピテーゼによるリハビリテーションに積極的に取り組んでおられる病院では、その補綴する部分によっては高度先進医療の申請 をしてトータルな医療行為として扱っていますし、市町村役場の障害福祉課等に申請すれば、金銭的な補助を受けられる場合もあります。
当クリニックを御訪問になった患者さんの中に「乳房がないことはみんな知っているからそれはいいんです。でもこの傷跡だけは他人には見せられないか ら、エピテーゼを作って下さい。」「電車や人ごみの中で、他人の身体や鞄が強く当るのが恐いんです。」とおっしゃられた方がいました。 また、「仕事中、 機械に挟まれて指をおとしてしまった。近い内に娘の結婚式があるので、相手のご親族に変な印象を与えたくないから作ってくれ。」とおっしゃる方や、結婚式 を控えている女性で不幸にも事故で左手の薬指を落としてしまった方もいました。 さらに、病院に通院中の顔面欠損の患者さんは、「この顔のおかげで病院に 通う事すらおっくうになります。なんとかしてください。」と切実なお悩みを打ち明けてくださる方もいました。
このように患者さんのご要望はその人それぞれでいろいろとあり、それらに確実にお答えできるよう、メディテックで は製作担当者がコンサルティングからアフターケアまでトータルにお世話するといった、現在の多くの企業や技工所がその効率の悪さから排除してきた方法を、 あえて採用しております。 それは、ひとえに患者さんの細かい御注文に正確に対応するためと技術者が働く際に、毎日流れ作業で機械的に同じ事をくり返し、 仕事に対するやりがいを見失ってしまわないよう、自分の造った物がいかに評価されるのかを直に見る事によって、さらに技術に磨きをかけることができるよう な配慮からとっている体制なのです。
「マイナスからプラスへ!」これは、メディテックの 基本精神です。 なにかにつけて猜疑心があり、つねに悪い方へ考えてしまうことをマイナス志向といい、これに対して自分の身におこった不幸もいずれ幸福に なるためのステップだというような前向きな考え方をプラス志向といいます。 マイナス志向はそのストレスから自律神経失調症や成人病の原因になるといわ れ、かたやプラス志向はストレスを溜めず、免疫力や自然治癒力を高めるといわれています。 どちらが良いかは一目瞭然ですね。 昔の人は言いました。「災 い転じて福となす。」 災いをそのままにするのも福とするのも、御本人の考え方次第なのです。